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■ 糸井文庫

以下の紹介文は、『糸井文庫資料目録 : 職業紹介事業資料を中心にして』のはしがき(当時の当研究所図書委員長・馬場宏二氏著)より抜粋したものです。

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糸井文庫とは、元東京府職業課長糸井謹治氏によって蒐集された、日本労働事情に関する資料の一大集積である。故糸井氏は、協調会書記、名古屋地方職業紹介事務局長、東京職業紹介所長などを歴任、そうした本務のかたわら、本務に関連する分野の文献や一次資料を、長年にわたって蒐集・保存しておられた。氏には学究としての資質や関心も備わっていたのであろう。ちなみに、東京帝国大学経済学部の助教授であり、留学中に急逝した糸井靖之氏は、氏の令兄に当たる。

ここに集められた文献・資料は、総計一万点を越え、期間は主として大正9年から戦時期にわたる。分野としては職業紹介関係を中心とするが、広く労働事情一般や社会情勢にも及んでいる。量質ともに資料の宝庫と呼ぶにふさわしく、東京大学社会科学研究所の蔵書のうちでも誇りとするに足るもののひとつである。この貴重な資料を当研究所が所蔵するに至った経緯は、およそ下のごとくに伝えられている。

この資料が当研究所の手に渡るについては多くのかたがたの御尽力や御厚意があったが、最大の貢献者は安田辰馬労働省参与である。安田氏は、長野県職業課長を経るなど経歴上も糸井謹治氏の後輩に当り、かつ糸井氏に私淑しておられる方であるが、自ら集められた公共企業体関係仲裁資料を当研究所に寄贈して下さったことがあり、当時所長の任にあった有泉亨東京大学名誉教授とは既知の間柄であった。かねてから糸井氏遺蔵の一大資料集を活用すべく心を砕いておられた安田氏は、それを当研究所に譲り渡すことを思い立たれ、この発案に糸井幸子夫人も快く賛同された。(注)この御意向が伝えられると、当研究所としてはたいそう喜ばしいことなので、当時労働問題担当の助教授として在任中だった氏原正治郎東京大学名誉教授を中心に、受け入れ方法を積極的に検討した。その結果、一部文献については買い取りの形、資料の基本的部分については寄贈受け入れの形をとることにし、昭和30年に一括引き渡しが完了した。これが糸井文庫の名称で保存されることになる。

(注)安田氏自ら糸井文庫についての紹介文を書いておられる。

併せて御参照いただきたい。

(注)「
社会科学研究所所蔵『糸井文庫』について」(執筆 加瀬和俊教授)(図書館の窓(東京大学附属図書館広報誌)2002年6月号掲載)

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